おかげさまで、今年私は勤続20年を迎えることができた。その間、結婚をしたり出産をしたり、やめようかな…と思うタイミングはたくさんあったけれど、部署の人たちの協力もあり、ここまで続けることができたと思っている。会社の人たちはもちろんだけど、夫や二人の子供たちの理解と協力があってこそでもある。特に子供たちとは一緒にいられる時間自体が少なくて、殆ど保育園や学童に預けっぱなしだったから、寂しい思いもたくさんさせたと思う。その分一緒にいられる時間はなるべく子供たちと一緒に過ごす時間と決めていたけれど、忙しさからそれもままならなかったり、イライラをぶつけてしまったりしたこともあり、申し訳ないという気持ちの方が強い。それでも母の日にはプレゼントをくれるし、肩こりのひどい私を見かねてマッサージしてくれる、優しい子たちに育ってくれたことに感謝したい。そんな思いで続けてきた会社なので、できれば定年までいられたらな、と思う。これまで会社にもたくさん迷惑をかけてきたので、これからは恩返しをする番だ。
そんな会社の中で、私にとって思い入れの強いものがある。それは会社の金庫だ。なぜならその金庫、私の勤続年数と同じだからだ。入社したばかりのときに、社内の人たちが新しい耐火金庫にざわついていたからよく覚えている。不景気で会社が傾きかけたときも、先代の社長が亡くなったときも、どんなときもその金庫はそこにあった。一度会社に泥棒が入ったときだって、泥棒はその大きな耐火金庫には手を出すことができず、会社を守ってくれたことがあった。塗装が剥げて見た目は古くなってしまったけれど、それもお互いさまだ。私だってこの20年の間に白髪が増えたしお腹まわりはたるんできてしまったのだから。
これからもこの金庫はずっとこの会社と共にあるんだろう。きっと私が定年退職しても、きっとこの会社を守り続けていくのだと思う。